改正行政書士法について~コンプライアンス上のリスクを避けるために

出張封印

令和8年1月1日から施行される改正行政書士法ですが、その解釈や適用範囲は、行政書士以外の方にとっては分かりにくいようです。改正によって自動車業務に大きくかかわるところとしては、第19条第1項(業務の制限規定の趣旨の明確化)及び第23条の3(両罰規定の整備)というところでしょう。

総務省「行政書士法の改正について」

第19条第1項の行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限規定に、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言が加えられています。

この改正は、コロナ禍において、行政書士又は行政書士法人でない者が給付金等の代理申請を行い、多額の報酬を受け取っていた事例が散見されたことから、「会費」、「手数料」、「コンサルタント料」、「商品代金」等のどのような名目であっても、対価を受領し、業として官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類、実地調査に基づく図面類を作成することは、法第19条第1項に違反することが明確化されたもので、これらは現行法においても変わりはなく、改正法の施行日前であってもこうした行為があれば同条に違反することになります。


次に、改正法により法第23条の3の両罰規定に、行政書士又は行政書士法人でない者による法第19条第1項の業務の制限違反に対する罰則が加えられ、違反行為者が罰せられることはもとより、その者が所属する法人に対しても百万円以下の罰金刑が科せられることとされました。

自動車販売店様の立場的には、「~ということにして、申請書類を作成する」ということができなくなったという風にご理解いただければと考えております。これは自動車の登録も、車庫証明申請でも同じです。

書類作成を無償で行っている、という名目であっても、

① 商品代金に加算されている

② 提出代行や申請代行手数料といった名目で請求書に記載されている

③ 行政書士報酬と記載されているが、請求区分が明確ではない

ということになれば、これは違反していると解されることになるということだと思います。逆に言うと、

①’ お客様が作成した書類を提出するだけである

②’ 車両を販売していない方からの依頼であっても無償で作成を行う

のであれば、行政書士法には抵触しないものと思われます。ただ、①’の場合は、窓口での補正(車庫証明における道路幅の記入など)は行えませんし、②’の場合に、実際に、誰から頼まれたとしても無償で受けるという人がいるかどうかは甚だ疑問ですが、法解釈上はそういうことになるはずです。

その他、行政書士を雇えばいいと考える方もいるかもしれませんが、行政書士は、他者に雇用されて行政書士業務を行うことができませんので、社員の方が行政書士試験に合格して行政書士登録をしたとしても、自社の社員として雇用し、行政書士業務を行わせることはできないということになります。

また、下図のような告知を行っている自治体もあります。

実際に、どのような運用になるかはまだ不明ですが、決められていきなり骨抜き運用になるということはまずないと思いますので、行政書士会による監察活動、取締りなども行われていくことになるかと思います。

なお、自社の商品車両をお買いになったお客様に請求書を出すときに、行政書士報酬に上乗せして加算することはできませんので、請求書に「登録諸費用」として記載する際には、

① 行政書士報酬(行政書士から実際に請求された金額を記載)

② 事務手数料(自社の基準に沿った請求)

のように明確に区分を分けて記載する必要があります。例えば、車庫証明の取得を5,500円で行政書士に依頼する場合に、11,000円を上乗せした16,500円の請求書を発行させて、11,000円のキックバック的な形をとることは、行政書士職務基本規則で禁止されています。こうすることを謳って営業する行政書士がいれば、それはその行政書士が規則違反を行っているということになります。

弊社でも、自動車販売店の皆様のビジネスのお手伝いは可能です。法人、従業員の両罰規定もありますので、コンプライアンスの点からも、ご相談いただければと思います。他都府県の登録であっても、ナンバープレートを後から返納したい場合でも、対応可能です。

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