自動車をローンで買われる方は少なくありません。
3年~7年くらいの期間でローンを組んで分割で支払いをしていくことになりますが、その間の所有者は、買った方ではない場合があります。ディーラーローンやディーラー提携のクレジット会社でのローンの場合ですね。
では誰が所有者か、というと、そのローン会社の名前になっています。ディーラーローンなら「○○トヨタ」などの名前になっていますし、クレジット会社ならアプラスだったりオリコだったりジャックスだったりになっています。今の新しい車検証では所有者の名前は記載されていませんので、車検証に埋め込まれたICチップ情報を読み込んで「車検証記録事項」というものをプリントアウトして確認することになっています。便利になっているんだかなっていないんだかよく分かりませんね。
ローンを組んで買った方は「使用者」として車検証などに記載されています。要するに、分割払いが終わるまでは、ローン会社が所有権者になるため、万一の場合にその車を引上げることができるようになっています。もちろん、ローンが終わるまでは、使用者が勝手に売買することはできません。勝手に売買されると困るので、処分に制限をかけるわけですね。ローンが終わったら、所定の手続きをすれば所有権を買主の名前にできるわけです。
こういう売買のやり方を「所有権留保」と言います。これ自体はとてもよくある形態ですが、気をつけなければいけないことがあります。
所定の手続きをしなければ、所有権者はいつまでもローン会社のまま
ということです。もちろん所有権者だからと言ってローン会社が勝手に売却したりはしませんが、車検証の上では所有者がローン会社のままになっていることで、いろいろと不都合が起きることがあります。
ローンが終わっているのに自分の物として自由に処分できない
からですね。誰かに売却する際にはローン会社の所定の書類をもらわないと名義変更(移転登録)の手続きができません。書類をもらうには何日かはかかりますから、それまでは売買が完了できないということになります。特に、ローンで買った方がお亡くなりになってから手続きをする場合、戸籍類などを提出することが必要になるケースもありますので、時間はさらにかかります。
自由に使ってきた車なので、自分が所有者だと勘違いしたままになってしまいますが、車を最初に買ったときと、ローンが終わったときの2回、名義変更(移転登録)する必要があるのでご注意ください。
また、転居や結婚などで住所氏名に変更がある場合は、一緒にその手続きもする必要があります。車庫証明や戸籍謄本などが必要になります。放置していると、そろえる書類がどんどん増えて大変になるのでご注意ください。
車検証を見て、「ローン終わってるのに所有者がローン会社のままだ」と思った方は、当事務所でもご依頼を承っています。
余談ですが、家をローンで買う場合は、所有権留保ではなく、抵当権などの形で自由な処分に制限をかけます。貸す方の都合があるからですね。これも、ローンが終わったら抵当権の抹消登記をしないと、いつまでも登記上は抵当権が付いたままということになります。この抵当権抹消登記は司法書士さんのお仕事ですので、当社では承れません。ただ、何かのついでにこれも何とかしたいという方はかなりおられるので、そういう場合は司法書士さんをご紹介しています。(受任を保証できるものではありません)
もちろん、こういう場合に紹介料などの名目を問わず、お客様や紹介先の司法書士さんから当社がお金をいただくことはありませんのでご安心ください。
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