民泊&簡易宿所~空家対策で古民家、空家を活用したいと思ったら

旅館業の許可
民泊の営業許可

円安の流れもあって、インバウンドの需要が大きくなっています。ホテルの価格も高騰気味で、予算オーバーで旅行を断念、などという声も聞こえてきます。キャンプがブームになるのもその影響があるように思います。ホテルに1泊家族4人で泊まって食事をしたらそれだけで10万円オーバーとなるくらいなら、アウトドアでBBQをして4人で2万円、という選択肢は全然アリですよね。もちろんその分細々した手間はかかりますが、それも含めて楽しめるなら良いわけです。

当社がある北海道は、言ってみれば日本屈指の観光地ですので、当然ながらインバウンドの需要も大きいですが、その一方で、ニセコなどのごく一部を除けば過疎の流れが止まらない地域でもあります。高齢化に伴い、施設入所する方も増えてきますから、必然的に空家が増えます。

家屋というのは使っていないと急速に荒廃します。防犯上も決して望ましいものではありません。ですが、解体してしまうと固定資産税が一気に上昇します。これはなぜかというと、解体すれば、古い建物にかかる固定資産税はなくなりますが、居住用建物で利用できていた減税特例が利用できなくなり、土地にかかる固定資産税は6倍になってしまうからです。加えて、都市計画税についても特例がなくなり、3倍に増えます。ですので、建物にかかっていた固定資産税<利用できなくなる減税特例ということになり、結果的に増える額の方が大きいということになるわけです。

また、解体費用も高騰の一途ですから、それなら解体せずにそのまま残しておこうとなってしまい、荒廃した空家が増えるという悪循環になってきます。空家対策が叫ばれる昨今ですが、個人的には、「解体して○年以内に家屋を建てる」という条件で、更地にかかる固定資産税の特例を使えるようにしたら一定の効果があるような気はします。

それはさておくとして、空家になった家屋を解体せずにそのまま残すという選択をしたのであれば、せめて何らかの形で使いたい、というのは当然の発想です。個人的に別荘で使う方もいらっしゃるでしょうが、「人に貸す」という選択肢がここで出てきます。それが「民泊」と「簡易宿所」です。北海道らしい景観を堪能できる立地だと、ホテルにはない強みが出てきます。

北海道 民泊

民泊は、「住宅宿泊事業法」によって規制がされています。なお、特区民泊という制度もありますが、一部の限定地域に限った話ですので、ここでは割愛します。

国交省のガイドページ(外部リンク)

新法民泊(住宅宿泊事業法における届出施設)
新法民泊は、人の居住の用に供されていると認められる家屋において、旅館業法上に規定する営業者以外の者が人を宿泊させる事業と定義されます。滞在日数は年間180日以内と規定されています。宿泊予約時点で対応可能と提示した言語に対応する必要があります。
客室面積は3.3m²×人数と規定されており、入浴設備やトイレ・洗面、調理場(台所)が必要とされます。
また、家主居住型であって居室数が6以上か家主不在型の場合は、管理委託が必要となります。申請は不要です。

ざっくり言うと、①住宅を ②年間180日以内で貸し出す ということになりますが、消防基準や衛生管理など宿泊者の安全や衛生について基準を満たす必要があります。当然ながら貸し出す相手の身元なども確認する必要があります。自分が住んでいるところと貸し出す住宅が遠く離れている場合、そこをどうやって確認するかということになりますが、AirB&Bなどの仲介ポータルを活用することで確認するというケースがほとんどのようです。

一方、簡易宿所は、「旅館業法」という法律で規制されています。

簡宿民泊(旅館業法における簡易宿所営業施設としての許可施設)
簡宿民泊は、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設と定義されます。滞在及び営業日数に制限はありません。客室面積は原則33m²以上で、入浴設備が必要とされますが、シャワー室のみでも可です。調理場(台所)の設置は必須ではありません。
簡宿宿所は年間365日の運営が可能ですが、建築や消防に関する基準は民泊に比べてかなり厳格ですし、用途地域によって営業可能な地域とそうでない地域に分かれています

用途地域とは

さて、お読みになれば分かるとおり、「届出」と「許可」では許可の方が当然基準は厳しくなります。北海道の場合、民泊に求められる基準は以下のとおりです。

北海道民泊の手引き(PDFページ)

一方、簡易宿所に求められる設備基準、衛生基準は以下になります。ここは法律や条令で非常に細かく規定されているので抜粋してみます。

北海道旅館業法施行条例

(簡易宿所営業の施設の構造設備の基準)
第3条 政令第1条第2項第7号の条例で定める構造設備の基準は、次のとおりとする。
(1) 施設の外壁及び屋根は、その形態、意匠等が善良の風俗を害するものでないこと。
(2) 多数人で共用する構造又は設備を有しない客室にあっては、外部からその内部を監視し、又はのぞくことができる設備(換気又は採光のための窓その他の設備を除く。)が設けられていないこと。
(3) 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応並びに宿泊者名簿の正確な記載及び宿泊者との間の鍵の適切な受渡しを可能とする設備を有すること。
(4) 当該施設の規模に応じた適当な暖房設備を有すること。
(5) 当該施設に近接して飲食店がある等飲食に支障を来さないと認められる場合を除き、適当な規模の調理室を有すること。
(6) 客室の定員以上の数の寝具を備え、かつ、当該寝具の保管に適した設備を有すること。

(衛生に必要な措置の基準)

第7条 法第4条第1項に規定する営業者が講じなければならない衛生に必要な措置の基準は、次のとおりとする。
(1) 浴槽水は、次に掲げるところにより措置すること。
ア 毎日取り替えること。
イ 24時間以上取り替えないで循環させ、及びろ過している浴槽水(以下「連日使用型循環浴槽水」という。)にあっては、アの規定にかかわらず、1週間に1回以上取り替えること。
ウ 気泡発生装置等(気泡発生装置その他の大気中に多数の液体の微粒子を発生させる設備(シャワーを除く。)をいう。第5号において同じ。)には、連日使用型循環浴槽水を使用しないこと。
エ 回収槽(浴槽からあふれ出た水を集め、貯留する設備をいう。)内の水を浴槽水として再利用する場合は、塩素系薬剤を使用して当該回収槽内の水を消毒すること。
オ 打たせ湯及びシャワーには、循環させている浴槽水を使用しないこと。
(2) 露天ぶろがある場合には、その浴槽水が配管を通じて屋内の浴槽の浴槽水に混入しないようにすること。
(3) 洗面設備には、飲用に適する水を供給すること。
(4) 寝具を常に清潔にし、寝具のうち、布団カバー、まくらカバー、敷布、寝衣その他の宿泊者の皮膚に接するものは、これを宿泊者1人ごとに洗濯したものと取り替えること。
(5) 営業の施設を清掃し、当該施設のうち、便所、洗面所、浴場その他の不潔になりやすい場所については、必要に応じ消毒等を行い、衛生上支障がないようにすること。この場合において、浴場及びその設備については、次に掲げるところにより措置を講ずるものとする。
ア 連日使用型循環浴槽水を用いる浴槽にあっては、当該浴槽を1週間に1回以上清掃し、及び消毒すること。
イ 浴槽水のろ過装置、循環配管(浴槽とろ過装置との間で浴槽水を循環させるための配管をいう。)及び水位計配管(水位計に接続する配管をいう。)を1週間に1回以上洗浄し、及び消毒すること。
ウ シャワーにあっては、次の措置を講ずること。
(ア) その内部に滞留した水が置き換わるよう1週間に1回以上通水すること。
(イ) 1年に1回以上その内部を洗浄し、及び消毒すること。
エ 集毛器を毎日清掃し、及び消毒すること。
オ 貯湯槽(湯を貯留する設備をいう。)及び調節箱(洗い場の給湯栓又はシャワーに供給する湯の温度を調節するための設備をいう。)を1年に1回以上清掃し、及び消毒すること。
カ 気泡発生装置等にあっては、次の措置を講ずること。
(ア) 1週間に1回以上清掃し、及び消毒すること。
(イ) 空気の取入口から土ぼこり、浴槽水等が入らないようにすること。
(6) ねずみ、昆虫等の発生及び侵入を防止し、並びにその駆除を行うこと。
(7) 客室にガスを使用する設備がある場合には、その使用方法を宿泊者の見やすい場所に表示すること。
(8) 換気設備、暖房設備、給水設備、排水設備その他の設備を適正に使用できるよう保守点検し、又は整備すること。
(9) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の規定により就業が制限される感染症にかかっている者又はその疑いのある者は、当該感染症をまん延させるおそれがなくなるまでの間、業務に従事させないこと。

ご覧のとおり、衛生基準はかなり厳しくなっています。ややこしいですね。トコジラミの流行もあって、リネン類についてはきちんとした管理体制がないと、適正な運営は望めませんし、当然収益にも影響してくるでしょう。

清掃やリネンの管理については他の事業者に委託することもできますが、十勝の民泊管理専門でやっている事業者というのは今のところ目にしたことがないので、札幌の事業者や清掃業者などへの委託を検討することになるでしょう。そうなるとコストの問題は出てきます。許可のお手続きなどは我々行政書士もお手伝いできます。ですが、管理体制については、人手不足の折、ここが空家対策としての民泊ビジネスにおける最大の関門だと言っても良いかもしれません。(地元で個人的に募集するのも一つの手段ですし、民泊管理の需要が大きくなれば参入も見込めるかもしれませんので、あくまで2024年7月現在の事情です)

逆に言うと、自力で(家族や知人で)管理ができる場合は、非常に有力なビジネスになると思います。

ただし、民泊として、あるいは簡易宿所として空家を活用したい場合、用途地域の調査や図面の作成、消防法令への適合検査(立会いが必要です)など、手続きはかなり大変です。外国人向けのマニュアルや案内図の作成も必要です。手に余る方は、行政書士にお任せください。

→民泊ビジネスのお問い合せはこちらから

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